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イベントレポート

開催期間:2019/08/16〜2019/08/18

2019.09.26
巨匠ジグズ・ウィグハムが待望の再来日
〜キング・トロンボーンと豪華絢爛ライブでファンを魅了〜

開催場所:兵庫・神戸、東京・渋谷

Tb:中路英明(左)、ジグズ・ウィグハム(中)、片岡雄三(右)、
Piano:菊池太光 Bass:大塚義将 Drums:広瀬潤次
 

8月16日(金)/18(日)兵庫・神戸

第35回ジャパン ステューデント ジャズ フェスティバル

広瀬未来&SJF Reunion Band/野々村明&The Global Jazz Orchestra(スペシャルゲスト)

8月17日(土)東京・渋谷

ジグズ・ウィグハム スペシャルライブ Directing「片岡雄三QUARTET」with中路英明

ノナカ・アンナホール

夏真っ盛りの8月中旬、ジャズ・トロンボーンの巨匠ジグズ・ウィグハム氏が8年振りの来日を果たした。その様子を東京ライブ中心に舞台裏含めお伝えしよう。

言わずと知れた巨匠であるが、まずプロフィールをご紹介。
1943年アメリカ・オハイオ州生まれ。弱冠16歳でプロ奏者としての活動を開始。トミー・ドーシー楽団やスタン・ケントンのバンドなどで活躍後、ニューヨークで活動。カール・フォンタナ、ビル・ホルマンなどの著名プレイヤーとのレコーディングを残している。現在ではドイツに拠点を移し、ベルリン音楽学校で後進の指導にあたる他、BBCビッグバンドの客演指導者、ベルリン・ジャズ・オーケストラの芸術監督を務めている。

ライブは本番以前よりエピソードが多いものであった。

ウィグハム氏単独ライブではなく日本が誇る片岡雄三氏と中路英明氏との豪華絢爛KINGアーティストによる3管ライブ、しかも神戸でのゲスト演奏→東京ライブ→再び神戸でのゲストというタイトスケジュール、ライブチケットのソールドアウト、ウィグハム氏来日と重なった大型台風・・・。

台風が過ぎ、東京ライブ当日は雲一つない真夏日。
未だ第一線で活躍中とはいえウィグハム氏は76歳である。体に堪える暑さであったであろう。しかし、リハーサルが始まると空気は変わる。

自らピアノを弾きながら「こういうコード進行はどうだろう?」と音楽を引っ張っていく。
 

それにすぐ応えていく片岡、中路氏をはじめとするバンドメンバーたち。
これだけのプレイヤーが揃ったのだ。リハーサルはすぐに終わった。

そして開場。プロ奏者も何人か来場されていた。ライブへの期待値の高さが伺える。

ウィグハム氏登場から満席の客席ボルテージは最高潮へ。
「TROMBONE POWER. KING POWER!!」とステージに上がり、1stはトロンボーン3人揃い踏みによるAll The Things You Areからスタート。
 

トロンボーン吹きなら想像は付くかもしれない。CDなどの音色から分かるようにウィグハム氏は決して音量の大きいプレイヤーではない。
音数は少なかれども、ニッケルライトウエイトスライド・ショートチューニングスライド(特注)・バランサーレスと軽量セッティングからなる「ジグズ・ウィグハムモデル 2BLS」から放たれるソフトで流麗なフレーズ、インプロヴィゼーションは絶品。無理なくさり気なく散りばめてくるハイトーンも上品でインテリジェンスに溢れている。

もちろんウィグハム氏だけでない。パワフルで存在感あふれる音色でバンドリーダーとして引っ張る片岡氏、ダーク&テクニカルに落ち着きをはらってこれぞという匠の技を見せてくる中路氏、まさに圧巻である。1曲1曲終わるたびに大きな拍手と歓声が上がる。

2ndはプレイが始まる前に、ウィグハム氏と共に来日したConn-Selmer社(KING大本の会社)の製品マーケティング部長であるフィル・ブラウン(PHILIP BROWN)氏によるKINGの歴史、楽器の解説が行われた。
 

そして片岡氏、中路氏、それぞれのソロから2ndスタート。2人も誰もが認める日本を代表するソリストである。まるでソロライブのような充実感が漂う。

予定では両氏のソロが終わったらすぐにウィグハム氏が登場、のはずであった。しかし何故か客席の後ろの方にゆったりと座っている。
「もう一曲頼むよ」とウィグハム氏。
ならばと客席からのリクエストを受け片岡氏、中路氏の2管によるIt's All Right With Meが急遽プレイされた。盛り上がらないはずがない。会場は更に熱気を帯びてくる。
「私と中路さんはそれぞれがソリストなので2人が並ぶのはとても珍しく、実に11年振りなのです。せっかくなので撮影タイム作りましょうか。」とステージ上での片岡氏の楽しいMCによるファンサービスもライブに華を添える。
 

そして待望のウィグハム氏のソロはガーシュウィンの美しいバラード。音色が美しいだけでない。高い集中力から発せられるそのオーラ、絶妙な“間”の取り方・・・。優しくささやくような、時に力強く語りかけるようなそのプレイに会場全体は息をのんだ。

最後にはまた3人が揃い踏みし、Someday My Prince Will Come。と、ここでウィグハム氏による曲の解説MCが入った。なるほど、本国アメリカの文化、歴史から見るとその様に捉えられるのかと興味深いものであったが、ややダーティーな内容なのでここでは割愛させて頂く。当日来場された70名の皆さまだけの特典である。
3人の個性豊かなアドリブからテーマに戻り、鮮やかにエンディングを飾った。
 

余談ではあるが、ウィグハム氏はリハーサルとライブの間にKINGのテナートロンボーン各モデルの選定を行った。70本以上からスライドの動きを確かめつつ1本1本選定していた。全国の楽器店で並んでいるとは思うが、選定品本数が少ないので皆さまがこのレポートをご覧になる頃にはあるだろうか。

もちろん忘れてはならない神戸でのプレイ。こちらはゲスト出演だったので演奏そのものは2曲と曲数は少なめであるがビッグバンドをバックにプレイ。
学生のビッグバンドが数多く出演する当フェスティバルのそれぞれの表彰式前に広瀬未来&SJFリユニオンビッグバンド、野々村明&ザ・グローバル・ジャズオーケストラをバックに、Makin' Whoopeeなど約2,000人の聴衆を前に披露。喝采を浴びた。

巨匠、ジグズ・ウィグハム氏のまたの来日が待たれる。

■KING日本語ページ
https://www.nonaka.com/king/


 

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