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イベントレポート
2015.12.07
ドイツの名門トロッシンゲン音楽大学で教授を務めるクラリネット奏者
鬼才ヒェン・ハレヴィの才気あふれる指導と演奏を堪能
11月26日、渋谷・アクタスのノナカ・アンナホールで、ヒェン・ハレヴィ氏のクラリネット・マスタークラス&ミニ・コンサートが行われた。
世界的なヴィオラ奏者、今井信子氏のコンサートで共演するために来日し、その機会に実現したものだ。
ハレヴィ氏はイスラエル生まれでパリ在住。今日最も多才なクラリネット奏者と評されるプレイヤーのひとり。十代でズービン・メータ指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団と共演してデビュー。
以来、ニューヨーク・フィル、東京交響楽団、モスクワ・ヴィルトゥオーゾ、イェルサレム放送管弦楽団、ライプツィヒMDR交響楽団、北ドイツ放送交響楽団、バイエルン放送交響楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団などアメリカ、ヨーロッパ、日本等の主要オーケストラと共演を重ねている。
ソリストとしての活動のほか、室内楽にも積極的に取り組んでいて、数々の著名演奏家と共演。現代音楽の分野でも国際的に活躍、さまざまな作曲家との長年にわたる親交から、献呈された作品も多い。
指導者としても定評があり、ベーム式のクラリネット奏者であるハレヴィ氏が、エーラー式が主流であるドイツのトロッシンゲン音楽大学の教授になったことは大きな話題となった。
今回のマスタークラスの受講者は、昭和音楽大学4年の村田光史さん(受講曲:ウェーバー「協奏曲第1番」)、東京音楽大学3年の東中園美香さん(受講曲:シューマン「幻想小曲集」)、国立音楽大学4年の井上朋実さん(受講曲:フランセ「協奏曲」)の3人。
どの受講者の場合も、クラリネット・プレイヤーとして重要ないくつかの点に絞って、徹底的にレクチャー。
たとえば、最初の村田さんの場合は「息」。クラリネットの演奏に際して最も大切なのは、いかに自然に息をすることができるかであり、そのなかで自然に発音することなのだと、息の取り込み方を伝授するのはもちろん、舌の位置などにも気を配りながら、ていねいに時間をかける。
東中園さんの場合は「エスプレッシーヴォ」。受講曲のシューマンの「幻想小曲集」が格好の素材となり、あらためて表現することの難しさ、大切さを確認できた。
井上さんの場合は「リラクゼーション」。氏自身が吹いているときに腕を触らせて力が入っていないことを確認させたり、片手をブラブラさせて吹かせたりなど、リラックスすることの重要さを実践的に指導。
マスタークラスの開始前、ハレヴィ氏は「クラリネットに関する普遍的な事柄についてふれたい」と話したが、その言葉どおり、受講者のみならず、聴講者にもたいへん有意義なマスタークラスとなった。
さすが音楽大学の教授、レッスンの進め方はスピーディで要点をしぼったものだった
そして、マスタークラス終了後に行われたミニ・コンサートでは、ピアノの小池亜季氏との共演でブラームス「クラリネット・ソナタ第1番」より第1楽章、ストラヴィンスキー「3つの小品」(無伴奏)、プーランク「クラリネット・ソナタ」の3曲を演奏。
幅広いレパートリーの幅を持つハレヴィ氏の魅力を、短い時間ながら堪能できた。
ハレヴィ氏の愛器はセルマー・パリ社のプリヴィレッジNEW VERSION。
「友人のフィリップ・ベローが開発したこの楽器は、音程・音質とも最高だね!」
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