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イベントレポート
2015.10.07
マーティン・ヤコブセン Jazz マスタークラス
イベントレポート
木管アクセサリーのトップブランド『バンドーレン』は、クラシックだけでなくジャズ奏者の活動も支援しており、“VANDOJAM”と称するジャズ・ライブやクリニックを世界各地で展開している。
そして今回、渋谷・アクタスで開催されたテナー・サクソフォン奏者マーティン・ヤコブセン氏によるマスタークラスもその一環だ。
ヤコブセン氏はデンマークのコペンハーゲン生まれ。マイルス・ディヴィス・グループ等の演奏に触れてジャズに魅了され、テナー・サックスを手にしたのは19歳のとき。
以後、何度か個人レッスンを受けたほかは、ほぼ独学でサックスを習得。1993年には自らのカルテットを結成するなど、90年代、若手演奏家のひとりとしてコペンハーゲンのジャズ・シーンで活躍していた。
1995年、サックス奏者のボブ・リックウェルから「君はニューヨークかパリに行って演奏活動をしたほうがいいよ」とアドバイスされ、パリで活動することを選択。
現在にいたるまでずっとパリを拠点に、フランス国内に留まらず、ヨーロッパ全土、北米、そして、韓国やインドネシア、ベトナムなどのアジアまで、世界中で精力的な演奏活動をつづけている。
パリ移住後、1999年から4年間活動していた彼自身のカルテットは、演奏する会場すべてを超満員にし「ヨーロッパ大陸の輝かしいグループのひとつ」と評された。
こうしたリーダーとしての活躍の一方、デヴィッド・サンボーン等トップアーティストのサイドマンとしても活動。
現在、ヨーロピアン・サクソフォン界で最も著名なプレイヤーとして確固たるポジションを確立している。
さて、今回のマスタークラス受講生は、昭和音楽大学でポピュラーを勉強している笹本真由さんと社会人アマチュアの須永雅彦氏、寺田寛典氏の3人。
それぞれ30分から40分、望む課題を中心に指導を受けた。
愛用のマウスピースはメタルのV16、リードはZZの3から31/2。バンドーレンとは新製品の開発でも協力している
レッスンでは、普段の練習法を分かりやすく解説
「ジャズの場合は、楽譜どおりに吹くことが求められるクラシックと違って、書かれてないアーティキュレーションを自分で考えてつけることが大切」
「実際に聴衆の耳に聞こえているはずの音は、自分の耳で直接聞くことはできない。
だから、壁に向かって吹き、返ってくるサウンドを聞きながら練習し、客観的に自分の音や演奏を分析するといい」
「マウスピースの正しい角度をキープし、息をきちんと入れるためにも、姿勢はなるべくくずさないこと。前かがみにならず、頭が天井からつるされているようなイメージでまっすぐに立って」
「メロディをアレンジしたければ、コード記号を見た瞬間、スケールとアルペジオを想像できるようにしておくこと。また、ふだんアーティキュレーションを意識したスケール練習を欠かさないように。
知識を身に付けたうえでレッスンを重ねていれば、必ず新しいアイディアが浮かんでくる」
「自分の練習を録音しておいて分析するといい。
同じフレーズを1ヵ月ごとに聞き比べると、自分の実力を実感できる」
その他数々のアドバイスがあったが、いずれの場合も、非常に論理的でわかりやすく、かつ実践的。
独学だった自身の経験が活きているのだろう。
多くの場合、根本的に問題を解決するためのふだんの練習方法まで助言する、ていねいなものだった。
演奏のみならず、マスタークラスも好評だというヤコブセン氏。
たしかに聴講している人もすべて満足できるマスタークラスだった。またの来日が楽しみだ。
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